企業の資金調達とコスト管理とは?ファイナンス戦略の基本

コスト管理

企業が事業を運営するためには、資金が必要です。

この資金を効率的に集めるためには、ファイナンス戦略の知識が欠かせません。

ファイナンス戦略を使って企業は、銀行や金融市場からお金を借りたり、出資を受けたりして資金を調達します。その後、集めた資金を使って事業活動を行い、利益を生み出します。

この利益は、銀行への利息支払いや、株主への配当として使われることがあります。

このように、お金を集めて使い、さらに利益を生み出して返す一連の流れを効果的に管理するためには、ファイナンス戦略が重要になるのです。

カバ社長
カバ社長

この記事では、「企業の資金調達とコスト管理とは?ファイナンス戦略の基本」についてわかりやすく解説します。

企業が資金調達をするための2つの方法

企業が事業を行うためには、さまざまな費用がかかります。

これには従業員の給料、原材料の購入、工場の建設、オフィスの賃貸、パソコンの購入などが含まれます。

これらの費用を賄うために企業は資金を調達する必要があり、主に2つの方法があります。

①負債による調達

負債による調達は、銀行からお金を借りることを意味します。

借入れには返済期限があり、例えば1000万円を3%の金利で借りた場合、期限までに返済する必要があります。

返済できない場合、金融機関は資金を回収するために行動を起こし、最悪の場合、企業は資金不足により倒産する可能性があります。
②株式による調達

株式による調達は、投資家から出資を受けることで資金を得る方法です。

この場合、企業は受け取った資金を返済する必要はありません。

倒産した場合、企業の資産はまず債権者に分配され、その後に余剰があれば株主に返還されますが、余剰がなければ出資者は投資した資金を失うことになります。

この2つの方法は、企業が成長し、運営を続けるために必要な資金を確保するための基本的な手段です。

負債による調達は返済責任が伴いますが、株式による調達では資金を返さなくても良いという大きな違いがあります。

カバ社長がわかりやすく解説

カバ社長
カバ社長

ケイコさん、会社運営にはお金がたくさん必要なんだ。給料や原材料、オフィスのこととかね。

新入社員
新入社員

はい、そうなんですね。でも、そのお金はどうやって集めるんですか?

カバ社長
カバ社長

いい質問だね。大きく分けて二つの方法があるよ。一つは「負債」で、銀行からお金を借りるんだ。ただし、これは後で返さなきゃいけないし、利息も払う必要があるんだ。

新入社員
新入社員

なるほど、返済しないといけないんですね。もう一つの方法は何ですか?

カバ社長
カバ社長

もう一つは「株式」で、投資家からお金を集めるんだよ。この場合は、お金を返す必要はないんだけど、会社がうまくいかなくなったら、投資家はお金を失うリスクがあるんだ。

新入社員
新入社員

へぇ、そうなんですね。負債と株式、二つの方法があるんですね。

カバ社長
カバ社長

そうだよ、ケイコさん。どちらを選ぶかは、会社の状況や将来の計画によって決めるんだ。

企業の資金調達コスト(負債と株主資本)の計算方法

企業がお金を集めるためには、負債(借金)や株式(株を売ること)の2つの方法がありますが、どちらにもコストがかかります。

これらのコストを理解し、計算できることが、賢く資金を調達するためには重要です。

①負債コストの計算

負債コストは、企業が借りたお金に対して支払う金利を指します。

例えば、企業が銀行から複数の金額を異なる金利で借りている場合、各借入れに対する年間の金利負担を合計して、借入れ総額で割ります。

これにより、企業全体の平均負債コストが算出されます。

例として、企業が以下のように借入れをしているとします。

100億円を3.5%の金利で(年間利息は3.5億円)
300億円を2.5%で(年間利息は7.5億円)
500億円を1.5%で(年間利息は7.5億円)

これらの借入れで合計18.5億円の年間利息が発生します。

総借入れ額が900億円なので、負債コストは年間利息を総借入れ額で割り、約2.05%となります。

財務データが限られている場合でも、決算書から負債コストを推定できます。年間の支払利息と期首と期末の有利子負債の平均値を使って計算します。
②株主資本コストの計算

株主資本コストは、株式による資金調達のコストですが、計算は負債コストほど単純ではありません。

株主には配当金の支払いと、株価の値上がりによるリターンの両方を期待されます。

株主が求める利回り、つまり彼らが投資から得られると期待する利益率が株主資本コストとなります。

企業はこの期待に応えるためにリターンを提供し、そのためのコストが株主資本コストです。

例えば、株主が期待する利回りが5%だとすると、その5%が企業の株主資本コストとなります。

企業は株主からの資金に対して、配当や株価上昇を通じてこのリターンを提供する必要があります。

カバ社長がわかりやすく解説

カバ社長
カバ社長

ケイコさん、資金調達には負債と株式の二つの方法があるんだけど、両方ともにコストがかかることを知ってるかい?

新入社員
新入社員

少し聞いたことがありますが、詳しくは分からないです。

カバ社長
カバ社長

負債コストは、要するに借金の利息のことだよ。たとえば、いくつかの異なる金利でお金を借りたら、それらの金利を合わせて全体の負債コストを出すんだ。

新入社員
新入社員

なるほど、それで会社全体の借金のコストが分かるんですね。

カバ社長
カバ社長

そうそう、そして株主資本コストは、株を発行して得たお金のコストだ。株主は配当と株価の上昇を期待しているから、その期待に応えるコストがかかるわけだ。

新入社員
新入社員

株主には利益を返さなきゃいけないんですね。それが株主資本コストというわけですか。

カバ社長
カバ社長

カバ社長:その通り!企業は資金を得るためにこれらのコストを理解して上手に管理する必要があるんだよ。

資本資産価格モデル(CAPM)を用いた株主資本コストの計算

株主の期待する利回りは、資本資産価格モデル(CAPM)という公式で表せます。

この公式は、企業が株主に提供するべきリターンの計算に用いられます。

CAPMは次の3つの要素から成り立ちます。

①リスクのない投資の利回り

株主資本コストを計算する際、まず基準となるのは「リスクのない投資の利回り」です。これは、理論上全くリスクがないとされる投資から得られる利益の割合を表します。

実際には完全にリスクのない投資は存在しないため、多くの場合、比較的安全と考えられている国債の金利がこの利回りとして使われます。

国債は国が発行するため、個別企業の発行する債券などよりも返済能力が高いと見なされています。特に長期間の国債、例えば10年や30年の国債金利は、リスクのない投資の利回りとしてよく参照されます。

株主は、この利回りを基本とし、それに企業のリスクを考慮した上乗せ金利を加えて、自身が投資から得るべきリターンを決定します。

②市場リスクプレミアム

市場リスクプレミアムは、投資家が株式市場のリスクに対して期待する追加の利回りです。

投資家は企業に資金を提供し、リターンを求めますが、株式投資には返済義務がなく、企業が倒産した場合、投資した資金を失う可能性があります。

これは株式市場にはリスクが伴うためです。もし株式市場の利回りがリスクのない投資と同じだったら、リスクを冒さずに確実なリターンが得られるため、誰も株式市場には投資しないでしょう。

しかし、実際には株式市場はリスクが高いぶんリターンも大きいため、投資家はリスクを受け入れて投資します。

市場リスクプレミアムは、株式市場の利回りからリスクのない投資の利回り(例えば国債の金利)を差し引いたもので、この差が投資家が追加で求めるリターンです。

例えば、株式市場の実質利回りが5.5%で、国債の金利が1.5%なら、市場リスクプレミアムは4%となります。

日本では3%から5%が一般的な市場リスクプレミアムの範囲とされています。
③投資株式のリスクの程度(ベータ)

CAPM(資本資産価格モデル)では、個別の投資株式のリスクを重要な要素として扱います。このリスクは、単に株価の下落リスクを指すのではなく、株価の不確実性全般を意味します。

株価の変動性を測るため、ベータ(β)という指標が使われます。ベータは、市場全体に対する個別株式の相対的なリスクを示す数値です。

例えば、市場が1%上昇する中で、ある株式も1%上昇すれば、その株式のベータは1です。これは市場と同じ動きをすることを意味します。

しかし、市場が1%上昇するときにその株式が3%上昇する場合、ベータは3になります。これは、その株式の価格変動が市場よりも大きいことを示しており、リスクが高いことを意味します。

大企業は一般に安定した業績を持つためベータ値が低く、ベンチャー企業のように業績が不安定な企業はベータ値が高くなる傾向があります。

これらのベータ値は証券会社によって計算され、投資家が参照できるように公表されています。

CAPMを使って株主資本コストを計算する場合、長期国債金利と市場リスクプレミアム、そして企業のベータ値を使います。

例えば、長期国債金利が1.5%、市場リスクプレミアムが4%の場合、ベータが1の企業の株主資本コストは5.5%になります。ベータが3の場合は、株主資本コストは13.5%になります。

これは、リスクが高いほど、またベータが大きいほど、株主資本コストが高くなることを示しています。

このように、ベータが大きいほど、つまり企業のリスクが高いほど、株主に支払うコストも高くなります。

カバ社長がわかりやすく解説

カバ社長
カバ社長

ケイコさん、株主が期待する利回りを計算するには、CAPMという公式を使うんだよ。これはね、企業が株主に払うべきリターンを算出するのに使われるんだ。

新入社員
新入社員

CAPMって何の略ですか?

カバ社長
カバ社長

いい質問だね。それは「資本資産価格モデル」のことで、3つの要素から成り立っているんだ。まず、リスクのない投資の利回りがある。これは基本的に国債の利率で、リスクがほぼない投資だよ。

新入社員
新入社員

リスクがない投資が基準になるんですね。他には?

カバ社長
カバ社長

次に、市場リスクプレミアムがある。これは株式投資のリスクに対して投資家が求める追加の利回りだよ。株はリスクが高いから、もっとリターンを求めるんだ。

新入社員
新入社員

なるほど、リスクが高いぶん、利益も大きく期待するわけですね。

カバ社長
カバ社長

正解!最後にベータがあるよ。これは株式が市場の動きにどれだけ敏感に反応するかを示す指標だ。ベータが高いほどリスクも高くなる。

新入社員
新入社員

それで、これらを全部合わせると株主資本コストが出るんですね?

カバ社長
カバ社長

そうそう、例えばリスクのない利回りが1.5%で、市場リスクプレミアムが4%、ベータが1なら、株主資本コストは5.5%になるんだ。

新入社員
新入社員

リスクが大きいほど、支払うコストも大きくなるんですね!

カバ社長
カバ社長

その通り!これが企業が株主に提供すべきリターンを計算する方法だよ。

まとめ

カテゴリ 説明
資金調達の方法 1. 負債による調達(銀行から借りる)
2. 株式による調達(投資家から出資を受ける)
負債コストの計算 借入れに対する年間金利負担の合計を借入れ総額で割る
株主資本コストの計算 投資家が期待する利回り(配当金+株価上昇)
CAPMによる計算 リスクのない投資の利回り + 市場リスクプレミアム + ベータ×市場リスクプレミアム
リスクのない投資の利回り 通常、国債の金利で表される、リスクがほぼない投資の利回り
市場リスクプレミアム 株式投資のリスクに対する投資家の期待される追加のリターン
ベータ 株式が市場全体の動きにどれだけ敏感に反応するかの指標
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